創業を決意して、父に計画を話したところ、
「お前は、何歳になった?」と問われた。
「39歳」と答えた。
しばらく、間があったが、
「わかった、やれ」と言ってくれた。
サラリーマンだった父も昔、製材業で独立したことがあり当時の自分よりも若い私の決断に感慨深い思いが湧いていたのだろう・・・と今にして気が付いたことです。親からは心配な息子の未来、どのように見えていたことでしょう。
それでも息子は、資金が必要なので、少し貸して欲しいと頼んでみたところ、
「いくらだ」とのこと。
あまり無理も言えないので、
「200万円」と言うと、
「よしわかった」と返事が返ってきた。わりと軽く返事が返ったので、もう少しはと思い、
「車買うので、あと200万円」と言うと、
「そこまでだ」とのことで都合400万円借りての事業スタートとなりました。
自己資金は200万円だったので、スタート時の自己の出資金は父からの借り入金で600万円となりました。
事業をスタートしてからは、只々忙しく、1年目が過ぎ、2年目となるころ、父は急に体調が悪くなり、闘病の末半年ほどで癌でなくなりました。
その後夢中で働いて参りました。時々は親しい人にこの父からの400万円を借りてスタートした話をしてきましたが、ふと妻とこの話をしながら
「そう言えば、あのお金返してなかったね」と思い出しました。
人の良い父はそのことを一言も私には言わなかった。
「お前はいくつになったか?」
「はい、72歳です」
あの時の400万円の借り入金に気がつくのに33年経ってしまいました。今や不肖の息子は白髪になってしまいました。
あと4年で父の亡くなった76才になります。