ついこの間まで、「焼芋屋さん」が街内を回っていた。
「やきいも~🎵~石やきいも~🎵~~」
その名調子は声を聞く人を郷愁のエアポケットに放り込む。
そうして一瞬にして理性をリセットさせ、
「やきいも屋さ~ん✋~~~~」と、
室外に駆け出させる程の強力なパワーをもっていた。
決して裕福な人が、恵まれた方が、焼芋屋さんをやっていなそうで、充分に古びた作業着に、厚手のジャンパーなどを身につけた「おじさん」が、煤で黒くなった、ふしくれた丈夫そうな手で芋を「新聞紙」でくるんでくれる。
「はい 熱いよ!」と渡してくれたものだ。
東京に出稼ぎに来た人達が、この仕事の担手だったような気がしてます。
この焼いもを買う客も東京に出て来た田舎者で、
ホカホカの焼芋は、そんな田舎者同士が「温かな思いやり」を交換していたような気がするのは、昔語りにふける年寄りの証拠というものでしょうか。
今日では、電子レンジで焼イモが出来るようです。
専用の焼いもグリルや焼いも鍋も多数発売され、
焼いも屋さんの出番がなくなったようです。
焼き芋器