段差のバリアフリーについて
居住者が高齢であったり、障害者であった場合、住居という生活の場への出入、室内から庭、玄関や敷地への移動に段差が大きな障害となる。
又、一度でも足を痛めた事のある人は、この段差の存在に気付くことになる。
元気を前提にした家づくり
元気な時には気にならない様々な事が、一度不自由な身になるとはっきりと見えてくる。
私達はお客様から家づくりのご計画を依頼された段階で、設計上配慮しておけば、いざという時にどれだけ助かるかと云うことをご提案すべき義務を負うと考えられる。
だからして、具体的なご提案を宮崎市佐土原町に健康維持増進住宅(快護支援モデル)として建築いたしました。
段差のバリアフリー設計ポイント
①玄関から室内への移動
それでは、具体例をご覧下さい。
解決すべき問題点を列挙すると
1.敷地と玄関アプローチの段差解消
2.車の乗り降り時に、雨風の影響を軽減すること
3.玄関から室内への段差解消
4.玄関ドアの開閉での入室者の負担軽減
5.水、埃の浸入防止(段差を無くすことで吹き込み易くなる)
【具体的な解決策】
1.敷地と玄関アプローチをなだらかなスロープで結んだ。
2.玄関前の雨避けを大型の庇で設計し、車の通過と乗り降りが可能なものとした。
3.敷地と玄関、更に室内の床の高さを平坦に近いスロープで結んだ。
4.玄関は引き戸とし人感センサーで閉まるものを採用した。開く場合はワンタッチとした。防犯上の事もあるので、どこまで自動化するかは検討されねばならない。
5.敷地やアプローチを前もって埃の出にくい設計とし、配水、防水も水勾配を考慮し、スリットから予め計画した溝に水を導く事とした。
②室内から庭への移動
それでは、具体例をご覧下さい。
解決すべき問題点
1.室内から庭へは通常500mm内外の段差があるのでこれを解消したい
2.配水や埃の浸入を防止する(段差を無くした場合)
【具体的解決策】
1.庭の高さを室内の床高に合せて段差を解消した。
2.
建物側の敷地を計画段階で庭より700mm程下げ、庭と建物の間には、1m~3m程の幅でモルタル仕上げとし、配水の側溝を設置した。
室内と庭は木製デッキを橋のように掛け渡し、防蟻・防腐を考慮して、「コシイプレザービング社」のパーマエクセル製品を用いた。
室内から外へフラットな通路を開設出来た為、車椅子の利用も可能となった。
※平坦な仕上がりの為、庭の埃や木の葉が室内に吹き込まぬように、庭との境界に落ち葉止めとして「竜のひげ」を植栽したり、庭は一面の芝とした。