夢の続き
友人の理髪店に、これまた友人の女性がカットに来ていた。
これまでの人生で悔いることは何があるかとの話題になった。
「一度で良いから燃えるような恋がしたかった」と、女性が言ったという。
その後一時燃えるような恋を夢見た彼女は、日頃の疲れからか、予(かね)ての夢を吐露した安堵からか、不覚にも浅い眠りに落ちてしまった。
件(くだん)の様子を理髪店の友人はこのように語った。
「涎(よだれ)を繰りながら眠っていた」とのこと。きっと理髪店の椅子が横倒しにされ、彼が顔を剃るためにシャボンの調合を終え、片手にシャボン、一方の手にシャボンを塗る刷毛を持って近々と彼女の顔に近付いた時の目撃談であろう。
夢の続きは時と場所、体調をも配慮して語られなければならない。
この頃、自らの仕事を振り返って見るに、ふと気付いたことがある。
「住宅展示会は、小さな縁日に似ているな」ということ。
若いお父さんお母さんに連れられて、小さなお子さんがやって来ます。
時には祖父、祖母、友人、兄弟、姉妹で。賑やかな会話が弾んで。
お昼には、お弁当を開き、雨の日も風の日も。
この小さな縁日は賑々しく開かれる。
何となく渥美清の「男はつらいよ」の一風景に似ているようにも思える。
この賑やかで楽しい小さな縁日がいつまでも開かれて、元気でお店を張ってゆきたいものだと思うようになりました。
私の夢の続きは、これからもこの縁日を宮崎という故里のあちらこちらで開いてゆくことであります。