マッハシステムは全館空調で、しかも省エネルギーが特徴である。
室内の空気が清浄で、温熱環境を一定にコントロールする効果について、優れた実測値を実現している。
とはいえ、どのような工法にも欠点はある。今回はそのことについてご紹介いたします。
1、外出着の選択に手間取る。
マッハシステムの家では、室内はどの部屋も一定の快適温度に調整されており、外気の気温を知るには、一度外へ出てみることが一番となる。場合によっては、日射の影響を受けない窓の硝子に外気温を測る温度計を取り付けておくことも一法である。室内からこの測定値を見ることで、今の外気温を知ることが出来る。
寒ければ厚着を、暑ければ薄着を、ということになります。
2、冬の厚い掛け蒲団は不用となる。
寒い冬は、厚手の掛け蒲団が有難い。
ところが、マッハシステムの家では、まずもって、使用することはありません。
押し入れは、ベッドを用いない日本家屋にとって、必要不可欠なものとなっておりますが、一重に、こうした嵩張る冬物蒲団の収納に用いられていたことになります。
一年中快適温度帯に調整されたマッハシステムの家では、この冬の厚手の掛け蒲団は必要ありません。真空にして蒲団をペシャンコにして収納する袋がありますが、もしもの時に備えて、どこか押し入れの隅にでも直しておくことになります。
せっかく買い揃えた冬の厚い掛け蒲団は、使用することがなくなってしまうということで、少し季節感が失われることになります。
3、子育てに注意が必要となる。
◎戸を閉めるマナーが身に付かなくなる。
これまでの部屋ごと、パートタイム冷暖房の家づくりでは、部屋からの入退室時に、ドアの開け閉めがマナーとなっている。
ところが、マッハシステムの家づくりでは、全室が一定温度にコントロールされている為、ドアそのものが設計時に取り除かれてしまうことが多い。
したがって、これまでドアの機能で期待されていた、室温を一定に保つためのマナーとして開いたドアを閉めることは、気づかいの表現としても人としても大切な心得となっていたが、マッハシステムでは単にプライバシー保護の為の開け閉めがドアの機能となってしまいます。
特に子供は、環境によって育てられる為、一般的な家におけるドアの開閉に、室温コントロールの為の目的が含まれていることを、あらかじめ教育しておかなければなりません。
必要なマナー教育となってしまいました。
◎子供が他所で疑問、感想をストレートに口にしないように躾ける必要あり。
「なぜこの家は寒いのか?」は、言ってはダメ。
4、人の交流が変わる。
例えば、子供夫婦がマッハシステムを採用して家を建てられると、
◎子供が親の住まいを訪問する機会が減少する。寒かったり、暑かったりすると。
◎来客が増える。快適なので集まりごとの指定が多くなり勝である。
以上、思いつくままに、マッハシステムの欠点というか、生活感の変化がもたらす、人の行動や考え方の問題とも言えるものである。
良い方に考えれば、利点として快適な室内温度環境の実現で「人の集まる住まいづくり」とも言えるものがマッハシステムでもあるようだ。