遅くなって家に帰った。
坂道を下る。
ライトに照らされた庭で車を回すと
一段高くなった畑の
黒い土の上に緑のラインが
目に飛びこんだ。
「あっ、いつの間に芽吹き、葉を伸ばしていたのだろう。」
幾筋もの小松菜の若葉だ。
草丈はまだ3㎝程。
それでいて力強く整列して立っている。
ライトをあびてうまれたばかりの小松菜たちの行列だ。
その影までも行儀よく整列している、胸はって。
夜の畑に整然と。
「私たち、俺たち、生まれたてだよ、元気だよ」
と声を上げている。