とうちゃん
一人の少女が駆け込むなり、「すごいよ」と声を上げた。親御さんの姿は無く小さいながら、目を丸くして回りを見渡す姿は、立派なお客様。
やがて遅れて見えたご夫妻のお母さんは産まれて間もない赤ちゃんをだっこしている。
「とうちゃん、2階へ行ってみようよ」「とうちゃん、早く行こう」そう言って少女は父親の手を引いた。
幼い少女の声で「とうちゃん」と呼びかける声を耳にすると、心の奥から切ない懐かしさがこみあげて来る。
「とうちゃん」「かあちゃん」と呼び合っていた昔。児童虐待はあっただろうか。「パパ、ママ」「お父さん、お母さん」こうした呼び方に比べてみると、親子の距離も近そうに感じるのが「とうちゃん、かあちゃん」
今や定年適齢期となって、「とうちゃん」と呼ばれることもなくなった。
この頃産まれた孫は、まだ言葉をしゃべれなく、泣くか笑うかどっちかで意志を伝えている。今度はどうか、「じいちゃん」と呼んでほしいものだ。
「おじいさん」ではどんなイメージが思い浮かぶでしょうか。それは、私の「じいちゃん」ではなく、どこかの「おじいさん」ということでしょう。
とうちゃん
「とうちゃん」と呼ぶ、心の中で
「とうちゃん」と声に出して呼んでみる
「とうちゃん」 「とうちゃん」
いっしょにいると いっしょに行くと
楽しい 楽しかった 「とうちゃん」