受賞の内容は、省エネという概念が浸透していなかった旧来の中小企業住宅業界において、先駆的な省エネ全館空調(マッハシステム)住宅により大幅な省エネを達成した事例で、近年の大震災やライフスタイルの変化に対応できる住宅の普及を促進するものである。
以下は、具体的な取り組み及び成果の一部である。
住宅業界において、平成21年に長期優良住宅制度が制定されたが、平成29年度の新築住宅着工数に対する割合は11.3%となっている。また政府は、2030年までに新築住宅の平均でZEHとする事を目標に掲げているが、2019年度時点で新築住宅全体の20.5%、一般の工務店では8.5%にとどまっている。
また、換気設備に関しても、外気をそのまま取り入れる第三種換気が一般的である。
近年の住宅におけるエネルギー需要は予断を許さない状況である。具体的な背景として、近年の電気料金高騰、FITの終了した住宅における自家消費の要望、電力の供給がひっ迫したことによる夏冬の節電要請、巣ごもり需要の拡大による家庭での消費電力量の増加、自然災害が頻発している中での集団避難に対するクラスター不安、災害への対応(レジリエンス)等が挙げられる。
そのような状況から、太陽光発電の普及やイニシャルコスト・ランニングコストの削減により、省エネ・健康で豊かな住まいはもちろん、近年の大震災やライフスタイルの変化にも対応できる住宅の普及を目標に定めた。
取り組みとして、住宅業界でいち早く、省エネ性が高く住環境に優しい第一種換気を取り入れた省エネ全館空調システムを導入した高気密・高断熱なZEHにより、省エネで快適な空間づくりに力を入れてきた。
かねてより建物の性能には力を入れていたが、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく住宅性能表示制度制定を機に、設計・建設住宅性能評価の標準採用に取り組み、建物の断熱性能を高めてきた。
更に、「長期優良住宅の促進に関する法律」に基づく長期優良住宅の標準採用にも取り組んでいる。
また、建築物省エネルギー性能表示を全棟採用に取り組み、2020年度には100%を達成した。
ZEH住宅新築時には、積極的にHEMSを導入している。HEMSでは、住んでいる建物の実際の消費電力や発電量が過去分含め回路毎に表示出来るため、お客様のエネルギーマネージメントに対する意識向上につながっている。